22.『星降り山荘の殺人』倉地淳
「どんでん返しミステリー」をお探しの方に、真っ先にオススメしたい小説。
▼『星降り山荘の殺人』はこんな作品!
・読者への真っ向勝負が魅力の本格ミステリー小説
・クローズド・サークル(陸の孤島)もの
・叙述トリックを用いた圧巻のどんでん返しは必見!
『星降り山荘の殺人』のあらすじ
主人公・杉下和夫は広告代理店で働くサラリーマン。
杉下はある日、正義感から職場で問題を起こしてしまい、部署を異動になってしまう。
「カルチャークリエイティブ部」というよく分からない部署に配属になった杉下は、「スターウォッチャー」というよく分からない肩書を持つ二枚目・星園詩郎のもとでマネージャー見習いとして働くことになった。
初めは星園を胡散臭く思っていた杉下だったが、出会って早々、星園の卓越した推理力を目の当たりにし当惑する。
そんな杉下と星園はある日、仕事で雪に囲まれた山荘に行くことに。
山荘にはUFO研究家、女流作家など、風変わりな面子が揃っていた。
やがて山荘は吹雪に見舞われ、交通は遮断。電気も電話も通じない陸の孤島(クローズド・サークル)状態に。
そんな中、山荘では次々と殺人事件が起こる…。
作中に散りばめられる、読者への挑戦。
ラストに待ち受けるのは圧巻のどんでん返し。
ミステリー好きにはたまらない傑作推理小説!
『星降り山荘の殺人』の感想・レビュー
どんでん返しで声出ました。
『星降り山荘の殺人』って、読者に対してめちゃめちゃフェアなんですよね。
各章のはじまりに、必ず注意書きがあるんですよ。
たとえば、
「主人公は読者と情報を共有する立場であり、犯人では有り得ない」
「この章で述べられているこの推理は正しい」
などなど…。
このフェアさ、この真っ向勝負感、アガりません…!?
私 本屋さんで、この注意書きを見た瞬間に「あっ、好き」ってなって買いましたもん。
でも、ここまで丁寧に注意書きがされていると、当然読者もかなり注意深くなるじゃないですか。
増してや帯に「きっと貴方も騙される!」って書いてある小説ですし。
どんでん返しがあるんだろうな、というていで読みますよ、こちらも。
なのに見事に騙されました。
「自分がどう騙されていたのか」を悟った瞬間の、「あーッ!そういう……!?」っていう驚き…。
これまで無意識に頭の隅に置いてあった伏線の数々が、頭の中をブワーッと駆け巡る感覚…。
ミステリーからしか摂取できない極上の瞬間ですよね…。
陸の孤島という舞台設定も最高に素敵です。
広義の密室モノですよね。
個人的にはガチガチの密室よりも、クローズド・サークルの方が好みでして…ホラ、宿泊客(あるいは住人、乗客…)同士の疑心暗鬼や恐怖感も増しますし…。
『星降り山荘の殺人』はそんな私のツボにドンピシャで、読んでいる間じゅうワクワクが止まりませんでした。
ちなみにこの『星降り山荘の殺人』、事件が起こるまでに150ページ以上とけっこうかかるんですが、
読んでいて全然気にならないどころか「このまま事件起こらなくてもいいよ~」って思うくらい面白かったです。
ミステリーを抜きにしても、物語として純粋に面白い。
そんな超オススメの作品です。