49.『同姓同名』下村敦史
登場人物、全員同姓同名。
▼『同姓同名』はこんな作品!
・下村敦史のミステリー小説
・猟奇殺人犯との同姓同名に苦しめられた人々の話
・叙述トリック&どんでん返しアリ
『同姓同名』のあらすじ
6歳の女の子が犠牲になった猟奇殺人事件。
容疑者は逮捕されたが、少年法によって守られ、名前は公表されなかった。
世間が容疑者・少年Aと少年法に義憤や批判を向ける中、週刊誌が少年Aの実名を暴露する。
少年Aの名前は…大山正紀。
その日から、同姓同名の大山正紀たちの人生は一変した。
さらに7年後、刑期を終えた大山正紀が出所すると、『大山正紀』への世間の憎悪はさらに燃え上がる。
そんな中、ひとりの大山正紀が『"大山正紀"同姓同名被害者の会』を発足。
猟奇殺人犯の名前によって人生を汚された彼らは、少年法に守られ顔を公表されなかった『大山正紀』を探し出そうとするが…。
『同姓同名』の感想・レビュー
『同姓同名』は、登場人物の大半が『大山正紀』。
しかも「作中で名前が出てくる人」で絞れば、なんと登場人物の大山正紀率100%です。
なんと挑戦的な…。
それに叙述トリックの匂いしかしない…!(*^^*)
もちろん基本的には、どの大山正紀がどの大山正紀かが分かるように書き分けられています。
ところが、ふとした拍子に「ん?この大山正紀ってどの大山正紀?」と分からなくなる書き方がされていたり…。
嘘はついていないところがミソ。だってみんな大山正紀なんですもん。
この、「真実が書いていあるのに隠してある」感じが、新しくて面白かったです。
ただでさえ大山正紀ばっかりの作品なのに、同じ漢字で読みが違う女性の大山正紀まで出てきたときには、面白すぎてクラクラしちゃいました。
『同姓同名』は一気読み必至、叙述トリック好きにはたまらないミステリー小説でした!