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21.『みんな邪魔』真梨幸子

 

 

私の中で、イヤミスといえば『みんな邪魔』。

 

 

▼『みんな邪魔』はこんな作品!

イヤミス三大女王のひとり・真梨幸子のミステリー小説

・とある少女漫画を愛する中年女性たちの物語

・中二心をくすぐられるネーミングセンスも魅力

 

 

 

 

『みんな邪魔』のあらすじ

 

少女漫画「青い瞳のジャンヌ」の愛読者で構成された「青い六人会」。

エミリー、シルビア、ミレーユ、マルグリット、ガブリエル、ジゼル。それが青い六人会を構成するメンバーの名前だ。

もちろん本名ではない。いわゆるハンドルネームだった。

 

若く美しいガブリエルを除き、メンバーは40代以上の中年女性

彼女たちは定期的に、華やかな衣装を身にまとい、人目を気にせずに会食を楽しんでいた。

 

ところがある時、「青い六人会」のメンバーのひとりが失踪

それを境に、ひとり、またひとりと、虚構で彩られた中年女性たちの正体が露わになっていく。

そして、ついにメンバーの惨殺事件まで発生…。

 

嘘、妄想、熱狂、現実逃避…。

「平凡な」女性たちが暴走する恐ろしいイヤミス小説。

 

 

 

『みんな邪魔』の感想・レビュー

 

イヤミス」の条件は「読後にイヤな気持ちになること」ですが、『みんな邪魔』は全編を通して平均的にイヤ指数が高いです。

人間関係のドロドロ具合、キャラクター達の虚飾の剥げ方…

中でも実母の介護に挑戦する「ミレーユ」の物語は、描写がリアルなだけにちょっと目を背けたくなるイヤさがあります。

 

 

人間誰しもが抱えているイヤな部分が誇張されたキャラクター&エピソードが多いため、少なからず同族嫌悪的な気持ちが湧くのもまたイヤですね。

 

「自分はこんな登場人物とは違う」という気持ちと「自分の中にもこの登場人物のような考え方がある」…と気付いたときの不快感…。

いや~、イイですね…。(笑)

色んな意味でキツイ話が多いですが、「自分にも無関係な話ではない」と思わされるようなストーリーもあり、反面教師という意味でも読んでよかった小説です。

 

 

 

『みんな邪魔』はモノローグやセリフが多く、耽美的な世界観と現実とのギャップの大きさが面白くて、かなりサクサク読めてしまう作品です。

「青い六人会」というネーミングや構成メンバーのハンドルネームなどにも正直惹かれますし、このネーミングセンスが読みやすさの一因にもなっています。

 

 

『みんな邪魔』のラストには叙述トリックを利用したどんでん返しもあり、私は見事に騙されました。

が、ミステリ玄人さんならたぶん推理で辿り着けるラストなので、どちらかというと初心者さんにオススメな作品です。

 

もちろん、イヤミス好きには迷いなく推せる小説ですよ!