44.『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』原作・中村力斗 作画・野澤ゆき子
1.『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』を3行くらいで紹介!
主人公が彼女を100人作る(予定の)話。
話が進むにつれ主人公の彼女が増えていくが、誰も傷つかない、愛あふれる新しい形のラブコメ。
略称は『100カノ』。
2.『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』のあらすじ
愛城恋太郎は誠実で努力家、容姿も悪くなく男女問わず人望がある男子高校生。
だが彼には、100人の女性に告白し、ことごとく玉砕してきた悲しい過去があった。
そんな恋太郎はある日、神社で神様に遭遇。
神様は恋太郎に、通常1人につき1人きりの運命の相手を、手違いで100人に設定してしまったこと、そして運命の相手には高校で出会うことを告げられる。
これまで手ひどく振られたことしかなかった恋太郎は大喜び。
ところが、運命の相手が100人いることには大きなデメリットもあった。
もし運命の相手を振った場合、その相手はなんやかんや不幸な目に遭って死ぬというのだ。
どうする恋太郎。
次々現れる「運命の相手」を見捨てることができるのか?
それとも全員を愛するのか!?
3.『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』の感想・レビュー
私、純粋なラブコメ作品にハマったのは『100カノ』が初めてです。
(7巻時点で主人公が13股してるラブコメを「純粋」と呼べるかはさておき)
『100カノ』は、神様の手違いで運命の相手を100人与えられた主人公が、次々に運命の相手と出会い、その全員と恋人になっていく物語です。
相関図にすると主人公から相思相愛の矢印が放射線状に伸びるという面白とんでもない作品ですが、さらに彼女同士でいくつか百合カップルも成立しかけており、人間関係はぶっちゃけ乱れに乱れています。
エッチめなシーンや露出シーンも多々ありますしね。
ただ、作中に流れる空気は不思議なくらい爽やかなんです。
その要因のひとつは、『100カノ』のギャグ&コメディ色の強さだと思います。
『100カノ』はコメディの割合が大きく(比重はラブが大きいのですが)、カラッと笑える健全なシーンがめちゃめちゃ多いんですよね。
エッチなシーンもギャグの一貫として描かれることが多く、笑いながら読めちゃいます。
(私は『100カノ』のギャグが本当にツボで、読んでいて笑い声がこらえきれないこともよくあります)
それに『100カノ』は、乱れに乱れた人物相関図からは想像もできないくらいの純愛物語なんです。
主人公の恋太郎は、彼女全員を平等に世界一愛していますし、彼女たちを幸せにするための努力を惜しみません。
彼女たちをあらゆる手段で守り、彼女たちの気持ちの機微を捉え、尊重し、全力で愛しているんです。
彼女たちも、そんな恋太郎だからこそ彼の考えを理解し、「全員と付き合う」という暴挙を受け入れている。
不幸になる人がいないんです、『100カノ』には。
全員が尊重され、愛されています。
さらに、ひとりの彼女がピンチになったら、恋太郎だけじゃなく他の彼女たちも結託して困難に立ち向かう。
作中では恋太郎と彼女達をひっくるめて「恋太郎ファミリー」と呼ばれていますが、まさにその言葉の通り、ひとつの大きな家族のような関係性が出来ているのです。
そんな彼女たちが織り成す物語は、面白いものばかりではなく、ほっこりするものや、中にはホロッと泣けてしまうものも。
ヒロインのひとり、唐音(からね)がツンデレじゃなくなる薬でツンデレを失った話は、涙なしには読めませんでした。
(何を言ってるかよく分からないと思いますが、まあ神様が普通に登場するようなギャグ世界なので色々起こるのさ)
あと真面目に、吃音の小動物系女子・静ちゃんが恋太郎に告白するシーンはすごく泣けました。
それと…『100カノ』の魅力として外せないのが、絵の可愛さですね!
各巻の表紙を見ていただければ分かる通り、可愛いんですよ絵が!!
▲個人的にお気に入りな5巻の表紙。1枚ページ目のイラストがまた美麗です…。
1枚絵も素敵なんですが、彼女たちが思い思いに動く本編の絵の可愛さといったら…。
造形美だけではなく、作画担当・野澤ゆき子氏の楽しんで描いている感じや、キャラクターたちへの愛情がガンガン伝わってくるんですよ。
『100カノ』はストーリーの性質上、話が進むにつれて1話内に登場するキャラクターがどんどん増えていくシステムなので、作画コストが半端じゃありません。
にも関わらず、一コマ一コマに収まる彼女たちは、誰も彼もが個性を尊重され描かれています。
その画力の高さと愛情の深さは圧巻です。
『100カノ』にはたくさんの「大好き」が濃縮されています。
良いですよ、可愛い女の子たちが誰一人傷つかず愛されているのを見るのは!!
ラブコメに興味がない人にもぜひオススメしたい作品です。