37.『悪いものが、来ませんように』芦沢央
違和感の正体を探せ。圧巻の"叙述トリック"ミステリー!
▼『悪いものが、来ませんように』はこんな作品!
・芦沢央(あしざわ よう)の2作目の小説
・共依存的な関係が事件を呼ぶ心理サスペンス
・巧みな叙述トリックが魅力のミステリー小説
『悪いものが、来ませんように』のあらすじ
「今すぐ私に子供ができれば、みんなに祝福されながら仕事を辞められるのに」
そんな紗英が頼るのは、幼い頃から最も近しい存在だった奈津子。
しかし、紗英を優しくサポートする奈津子もまた、社会に馴染めず、夫や母親ともうまくいかずに、紗英の存在を心の支えにしていた。
そんな紗英と奈津子の共依存にも似た関係は、紗英の夫の失踪という事件をきっかけに変わり始める。
『悪いものが、来ませんように』の感想・レビュー
初めて読んだときはナチュラルに騙されました。
正直騙されている自覚もなかったから、驚きもひとしおだったなぁ…。
叙述トリック好きにはたまらないミステリー小説だと思います。
『悪いものが、来ませんように』を読み返すと、確かに騙されていない状態で読んだ方が、すべてが自然に感じられるんです。
でも、騙されている最中、ストーリーの端々に違和感を覚えている状態でもサクサク読めちゃう。
芦沢作品の魅力である、頭にスルスル入ってくるような文章力のおかげで、サスペンス作品なのに非常に読みやすいんです。
『悪いものが、来ませんように』は主要な登場人物が少なめだから、限られているから、「この人誰だっけ?」と混乱することもありませんしね。
読んでいて全然ストレスを感じませんでした。
ラストの、真相はこうだった、と思いきやこうだった、と思いきや…というどんでん返しの畳みかけも見事。
何度も騙され、何度もびっくりさせられる怒涛の展開です。
「衝撃のラスト25ページ」というアオリに偽りなしな作品でした。
▼芦沢央作品は『火のないところに煙は』もオススメです!