29.『隣の家の少女』ジャック・ケッチャム
イヤな気持ちになりたくないなら、読まない方がいい。
▼『隣の家の少女』はこんな作品!
・隣の家の少女が虐待されているのを知っている少年の話
・ヘタなイヤミスよりよっぽどイヤな気持ちになる小説
・スティーヴン・キングが称賛した伝説の名作
『隣の家の少女』のあらすじ
アメリカのとある田舎町に住む少年・デヴィッドは、隣の家の女主人・ルースに引き取られてきた少女・メグに心奪われる。
ほぼ同時期にデヴィットは、メグとその妹がルースに折檻を受けているのを目撃した。
やがてルースの矛先はメグへと集中し、虐待の内容は悪化の一途をたどる。
ついにはメグは地下室に監禁され、近所の少年たちも巻き込んでの凄惨な虐待の日々が続いた。
衰弱していくメグを見て、デヴィッドはメグを脱走させようと決めるが…。
『隣の家の少女』の感想・レビュー
『隣の家の少女』は、ジャンルでいえばホラーやサスペンスに該当するのかなと思うのですが、私は読んでいる間じゅう、イヤミスの読後感に近い気持ちを抱いていました。
主人公はヒロイン・メグが虐待されていることを知りながら、ほぼ何もできません。
しかし虐待は苛烈の一途をたどり、主人公が見ている前でどんどん衰弱していくヒロイン…。
その光景を想像するだけでも落ち込みますし、もし自分が12歳で主人公の立場だったら、メグのために何かできるんだろうか…と考えるとなおのこと凹みます。
『隣の家の少女』は、「虐待」というたった2文字の言葉の裏で、被害者はこんな目に遭っているんだ…ということを、突き付けられるような作品です。
それもそのはず、『隣の家の少女』は実際に起こった虐待死事件にインスピレーションを受けて書かれた小説なのです……。
内容の生々しさにも納得……。
(詳しく知りたい方は「シルヴィア・ライケンス殺害事件」で検索してみてください)
でも『隣の家の少女』を読んで、私は後悔はしていません。
『隣の家の少女』は、暴力がエスカレートする過程や、メグの苦しみを知っていて何もできない主人公の心理など、とても繊細に、かつ美化せず真摯に描かれた文学的な作品です。
ただし、イヤな気持ちになりたくない方にはこの作品はオススメしません…!
気になる方は、覚悟のうえお読みください。