5つ星の本棚

大好きな本をレビュー&オススメする書評ブログです。

20.『銃』中村文則

 

 

拾った銃を愛でる青年。彼と銃の行き着く先は…。

 

 

『銃』はこんな作品!

・「教団X」で有名な中村文則のデビュー作

・純文学

・どんでん返し的な要素あり

 

 

 

 

『銃』のあらすじ

 

大学生の主人公・西川はある夜、河原で男の死体と、そのそばに落ちていた一丁の銃を発見する。

その銃の美しさに魅せられた西川は、銃を自宅に持ち帰ってしまった。

銃を愛でる日々の中で、西川は「自分はいつか銃を撃つ」という確信を持つようになるが…。

 

最後まで読んでほしい衝撃の純文学。

 

 

 

『銃』の感想・レビュー

 

中村文則の『銃』は、私が読書にハマったきかっけの作品です。

当時、私は読書歴もそこそこの、そこそこフレッシュな高校生。

対して『銃』の主人公・西川は無気力な大学生ですし、当時の私が共感できる部分はあまり無かったハズなのですが…

なぜかスーッと物語に入り込んでしまいました。

のみならず、読んでいくうちに、主人公・西川と自分が少しずつ同化していくような気さえしたのです。

 

『銃』で描かれる主人公の思考の流れは本当にリアルで、人の頭に一瞬のうちに浮かび、そして消えていくいくつものことが、何も取りこぼされずに克明に描かれているようでした。

まるで他人の頭に自分が入っているかのような…

自分が他人の人生を歩んでいるかのような…

読んでいて、そんな気持ちになったんです。

 

 

そんな風に、西川≒自分のような状態になってからの……ラストシーン。

忘れられません。

衝撃(というかショック)を2週間引きずりました。

ただただ茫然として、何も手につきませんでしたね…。

 

 

 

『銃』のラストはどんでん返しとは違いますが、どんでん返しに匹敵する衝撃度です。

私がどんでん返しモノが大好きになった原因というか…

今でも私はどこかに、『銃』初見時の衝撃を求めているんでしょうね。

 

 

 

『銃』は私にとって、「人生で衝撃を受けた小説」堂々の第1位です。

もう一度記憶を消して読みたいような…

あんな思いは二度とごめんなような…

 

 

(余談ですが、私は『銃』の表紙デザインは初期のモノ👇が大好きです。自分でも不思議に思います)

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