11.『あずみ』小山ゆう
歴史の陰に女刺客あり。壮絶な時代アクション漫画
▼『あずみ』はこんな作品!
・美少女×殺し合い…血しぶき舞う壮絶な時代漫画
・絵の上手さ&安定感が化け物級
・大長編!だけど何度も読み返したくなる…
『あずみ』のあらすじ
時は江戸幕府初期。
戦乱の世は幕を下ろしたが、まだまだ世は乱れ、戦の芽はそこらじゅうに転がっていた。
主人公・あずみは、そんな戦の芽を摘むべく、刺客として育てられた女剣士である。
あずみは幼少期を、「爺」と9人の仲間たちだけで、山奥で修行を積みながら過ごした。
修行は厳しいものだったが、「爺」や仲間たちとは仲睦まじく、笑顔の絶えない暮らしを送っていた。
そんなある日、「爺」から外の世界に出るための最後の試練が下される。
それは「仲間同士、2人1組でペアを組んで殺し合え」というものだった…。
試練を乗り越えたあとも、ひとり、またひとりと欠けていく仲間。
そして信じ切っていた「爺」の教えへの疑念。
これは、刺客の少女・あずみの戦いと苦悩の物語。
『あずみ』の感想・レビュー
『あずみ』は単行本にして全48巻の大長編作品ですが、何度読んでも飽きない名作です。
私は自分の本棚の中で間違いなく、『あずみ』を一番多く読み返しています。
『あずみ』の大きな魅力のひとつに、圧巻の画力が挙げられます。
絵柄は1巻の時点ですでに高いレベルで完成されており、48巻で完結するまで一切ブレません。
まさに化け物級の画力です…。
キャラクターはもちろん、背景も素晴らしく、描かれた家や町からは住む人たちの生活感がにじみ出ています。
自然風景を描いた場面でも、風や空気、感触、音やにおいまでもが伝わってきそうな描写力で、これを「漫画」の一言で片づけて良いのだろうか…という気持ちになります。
さらに『あずみ』は心理描写も実に巧みで、成長に伴う精神的な変化が本当に繊細に描かれています。
心理描写はセリフではなく、表情や情景のみで読者に伝えるシーンも多いです。
なので、読み手が年を重ねるごとに、あずみの気持ちを多く汲み取れるようになる。
だから何度読んでも全然飽きないんですよね。
『あずみ』はゴリゴリの時代漫画であり、血しぶき舞うアクション漫画ですが、意外にも内臓露出などのダイレクトなグロ描写は少ないです。
(全48巻の中で5回あるかないかくらい)
グロが苦手な人でも安心して読める名作時代漫画ですよ!