9.『魔法の料理 かおすキッチン』服部昇大
表紙詐欺。(誉め言葉)
▼『魔法の料理 かおすキッチン』はこんな作品!
・魔法少女×グロ
・ギャグ>>>ラブコメ
・昭和の少女漫画な絵柄と内容のギャップがクセになる!
『魔法の料理(マジカルクッキング) かおすキッチン』は、服部昇大によるギャグ漫画です。
昭和のゴリゴリの少女漫画な表紙が異彩を放っていますね。
『かおすキッチン』はグロ系魔法少女モノという今となってはポピュラーなジャンルの漫画ですが、2007年の作品なので、かなり時代を先取りしていると言えるのではないでしょうか…!
グロと言っても血しぶきが上がる程度(?)ですし、人間の血は流れませんので、グロが苦手な人でもまあ読めるんじゃないかなと思います。
私はこの作品がなんかめっちゃ好きです。
『魔法の料理 かおすキッチン』のあらすじ
私、木ノ森くるみ!お料理大好きな14歳!
ちょっとドジだけどいつも元気いっぱいな女の子!
「お料理部」はそんな私と、親友のおしとやかな美人、三千院織絵ちゃんの二人で活動しているんだ。
でも実は、私たちふたりには秘密があるの…
聖なるリョーリングストーンが光るとき、私たちは「かおすキッチン」に変身して、悪の組織「ダークオリエント」と戦う美少女戦士になるんだ!
「お料理魔法」の力を使って、「かおすキッチン」は今日も悪と戦う!
…そんな魔法少女たちに対峙するのは、悪の組織の女幹部・ビーフネス。
彼女は部下の魔獣を引き連れ、地球征服のため人類に攻撃を仕掛ける。
ところが、かおすキッチンのバイオレンスな魔法の前に、部下たちはことごとく血しぶきを上げ、無残な姿へと変貌していく…。
命からがら逃げかえったビーフネスの体から、今日も部下たちの血の匂いが消えない…。
『魔法の料理 かおすキッチン』の感想・レビュー
なんかめっちゃ好きです。
世代的な問題なのか「魔法少女」というだけで無条件に惹かれるのに、テーマに似つかわしくないバイオレンスさが高い中毒性を引き起こしています。
ヒロインたちが使う「お料理魔法」は主に調理器具がモチーフ(というかまんま)になっていて、「マジカルミキサー」で敵を粉微塵にしたり、「マジカルおろし金」で敵を粉々にしたり…。
「粉微塵」とか「粉々」とかは比喩ではなく、敵は血しぶきをまき散らしながら言葉通りの残骸になります。
まあグロいですが、安心してください。『かおすキッチン』はギャグマンガですから。
とりあえず1話目を読んでみて大丈夫そうだったら、最後まで安心して読める程度のグロレベルですよ!
『かおすキッチン』は魔法少女×バイオレンスでただでさえクセが強いのに、絵柄・作風からにじみ出るゴリゴリの昭和感がまた個性を上乗せしていて、唯一無二の味に仕上がっているんですよね。
ギャグマンガだから演出重視な点はありますが、全体的なストーリーもけっこう面白くて、連載がもう少し続けば世界観がさらに深掘りされていたんじゃないかな、と少々残念に思います。
そう、『かおすキッチン』は打ち切りENDなのです…。
でも!最終回は駆け足ながらも作者さんのキャラクター愛を感じられるストーリーで、意外にもホロッと泣かされてしまいました。
単行本描き下ろしのおまけ漫画は真の最終回ともいえるもので、私は「『かおすキッチン』を最後まで読んでよかったなぁ…」としみじみ思いました。
『かおすキッチン』には「可愛くてバイオレンスな2人組ヒロイン」という魅力的すぎる主人公がいるのに、むしろ悪の組織の幹部・ビーフネスが主役ともいえる構図が魅力的で気に入っています。
「強すぎる主人公サイドに、敵サイドがどう対抗するか」にフォーカスされているという点では、今(2021年夏)アニメ放送中の『平穏世代の韋駄天達』に近いものを感じました。
『かおすキッチン』は、個人的には「もっと有名になってほしかったなぁ…!」と思う漫画です。
今からでもぜひ読んでみてください…!!