2.『マスカレード・ホテル』東野圭吾
刑事×ホテルマン 異色のバディが織り成す、一気読み必至のミステリー小説。
▼『マスカレード・ホテル』はこんな作品!
・東野圭吾のミステリー小説「マスカレード」シリーズの1作目
・刑事×ホテルマンの異色のバディもの
『マスカレード・ホテル』のあらすじ
東京で起こった不可解な連続殺人事件。
現場に残された暗号から、次の事件現場としてホテル・コルテシア東京が示されていることが分かった。
犯人を逮捕すべく、若き刑事・新田浩介はホテルマンに化けてホテルに潜入することに。
そんな彼の教育係に就いたのは、優秀な女性フロントクラーク・山岸尚美だった。
慣れない業務に加え、職業的な倫理観の違いから反目し合っていた二人。
しかし次から次へと現れる怪しげな客に対応するうち、いつしか二人の間には信頼関係が生まれ始める。
刑事×ホテルマン。異色のバディは第四の連続殺人を防ぎ、事件の真相に辿り着くことができるのか!?
『マスカレード・ホテル』の感想・レビュー
私は『マスカレード・ホテル』を、前回ご紹介した『沈黙のパレード』と一緒に軽~い気持ちで購入しました。
▼『沈黙のパレード』の紹介記事はこちら▼
『沈黙のパレード』を読んで大興奮した私でしたが、一気読み度合いでいえば『マスカレード・ホテル』の方が上だった、と言っても過言ではありません。
『マスカレード・ホテル』は比較的分厚い小説なので、正直読む前はハードルを感じていたのですが…気づいたら3日で読破していました。
『マスカレード・ホテル』で次々に起こる「ホテルならでは」の出来事はどれも新鮮で、本筋以外の事案が複数並行することもほぼ無いので、1話完結型の短編集を読んでいるような気分になるんですよね。
でも実は、『マスカレード・ホテル』の中に無駄なストーリーは一切ありません。どのストーリーにも、連続殺人事件の伏線やヒントが潜んでいるのです…。
なのに、1つ1つの出来事に偶発性を感じてしまう…そんな巧みな展開が本当に気持ち良かったです。
『マスカレード・ホテル』でもうひとつ特筆すべきは、バディものとしての魅力です。
ミステリーや刑事モノの鉄板、バディ…。
バディと言えば"刑事同士のバディ"や"探偵&助手"などが王道ですが、『マスカレード・ホテル』では刑事とホテルマンがバディを組みます。
刑事は人を疑うのが仕事。ホテルマンはお客様を信じるのが仕事。
というように、異業種同士ならではの考え方の違いもあり、険悪な雰囲気でスタートを切る二人…。
バディものはバディ同士が正反対であればあるほど面白いという鉄則(※異論は受け付けます)がありますが、この二人ほど正反対のコンビもなかなかいないと思います。
しかしいずれもプロ同士。根っこの部分には共通するものがあって…。
さらに言うと主人公の刑事には、別の刑事のバディも登場します。
つまり『マスカレード・ホテル』は、刑事×ホテルマンという異色のバディものでありながら、同時に刑事×刑事の超鉄板バディものでもあるのです。
まさにバディもの好き垂涎の作品といえます。
『マスカレード・ホテル』は読書初心者でも読みやすい作品です。
分厚さで遠ざけずに、ぜひ一度手に取ってみてください。
言い忘れてましたが、刑事の「潜入捜査」ってロマンですよね…!